昔と比べて高い声が出るようになった。
でも、憧れていたハイトーンボイスとは少し違う。
なんだかキンキンした声になってる。
ダメなわけじゃない。
だってロックな曲とはマッチするから。
加えて、歌っていて超気持ちいい。
ただ、しっとりとした静かな曲。例えばバラードの曲には合わない。
友人からは「昔の方が優しい声で良かった」と言われる始末。
自分でも薄々気付いていたけれど、友達から指摘されてはっきり分かった。
「私の高い声、優しくない」
・・・これは私がミックスボイスを習得して間もない頃、歌声がキンキンしてしまい悩んでいた時の話です。
高い声が出るようになったけれど「もっと優しく出したい」とお悩みの方、多くいらっしゃることと思います。
同じく悩んでいた当時の私は何をしたかと言うと、科学的な視点で解決を試みました。
例えば
- 声帯閉鎖を調整
- 仮声帯のコントロール
- 共鳴腔を意識
などです。
結果、ボイトレの知識は増えました。
でも、高い声を優しく出せるようにはなりませんでした。
ここで誤解のないように補足しておきますと、上記の科学的な視点が誤っているのではありません。
単純に、私のレベルが高度なアプローチに追いついていなかっただけ。
ここに記すのは、そんな状態の私があるボイストレーナーの先生のアドバイスで、高い声を優しく出せるようになった話です。
科学的なメカニズムを知りたがるくせに、歌う時は感覚を重視するという変わり者の私でもできるようになった方法。
何かの参考にしていただければと思い「高い声を優しく出す方法」というテーマで記事にしました。
私はこれを実践するようになって「優しい歌声だね」と言ってもらえるようになりました。
高い声だけでなく、中低音でも表現の幅が広がったと感じています。
ぜひ、最後までご覧ください。
高い声を優しく出すとは

高い声を優しく出すといっても「優しい声」の定義は人によって違ってきますよね。
そこで、私が優しいなぁと感じる歌声を挙げると
- 平井堅さん
- 清水翔太さん
- SEKAINOOWARIのFukaseさん
といった感じです。
上記のアーティストさんをご存知であれば「うん、たしかに優しい声だね」と共感していただけると思います。
そういった意味で、私の目指す「高い声を優しく出す」というのは、例に挙げたアーティストさんの歌声を目指すことと同義です。
個人的な事情ですが、学生時代にヘヴィメタルの曲をよく聴いていた影響で、高い声がどうしてもシャウト気味になってしまう癖がありました。
そんな経緯からバラード曲もメタル風に歌ってしまう問題を克服するために、ボイストレーナーの先生の指導の下、次の練習をしました。
- 声を張っている部分を把握
- 息をたっぷり使う
- 静かな曲で練習
どれも特別な機材は必要なく、自主練の時はカラオケを楽しみながら行いました。
それでは、1つずつ詳しく見ていきましょう。
声を張っている部分を把握

一つめの練習は「声を張ってる部分を把握する」です。
この練習は人に指摘してもらうステップを含みます。
私の場合はボイストレーナーの先生からアドバイスを受けていましたが、ボイトレに通ってないよという方は「先生」の部分を友人や家族に置き換えてご覧くださいね。
必要としているのは自分の思い込みを含まない客観的な視点です。
というのも、優しく歌えないと悩んでいるときには、気づかないうちに声を張ってしまっていることが往々にしてあるから。
私は特にこの傾向が強かった。
そのため「声を張っている部分を把握する」からスタート。
具体的にどんなことをしたのか解説していきます。
先生の指摘をメモ
「高い声を優しく出したい」という希望をボイストレーナーの先生へ伝えたところ、歌っている時に強く声を張ってしまっているところを指摘してもらうレッスンが始まりました。
それって一人でもできるんじゃないの?と思われるかもしれませんが、これがなかなか難しいのです。
例えば、自分では感情を込めて歌っているつもりのフレーズが、聴いている側としては声を強く出しすぎていると感じてしまうことがあるからです。
「強く感じる」くらいならまだ良い方で、私の場合はもはや乱暴な歌声。
そこで先生から「ここの所で声張っちゃってるから、もう少し抑えてみて」といった感じにアドバイスしてもらったところをメモして、問題点を把握していきました。
歌詞カードにマーキング
次に先生からのアドバイスメモを確認して、歌詞カードに蛍光ペンでマーキングするということをしました。
歌詞カードというのは、練習のためにA4用紙に歌詞を書いたお手製の物。
教室によって違いますが、私の通っていたボイストレーニングでは歌詞カードを見ながら歌っていました。
アドバイスはその都度メモを取り忘れないようにする。
そして、歌詞カードにマーキングすることで、その問題箇所を注意して歌うことができます。
カラオケではテレビの画面を見ながら歌うことが多いと思いますが、この頃はお手製の歌詞カードを見ながら歌う練習をしていました。
自主練の時は録音
自主練(カラオケ)の時は必ず録音をして、アドバイスを受けたところが直っているか確認しました。
というのも、ボイトレ教室で指摘されたその日は大丈夫でも、数日経って感覚を忘れてしまい元に戻った・・・なんてことがよくあるからです。
そういった意味でも、メモを残すことと歌詞カードにマーキングすること大切。
「声を張ってしまう所を、抑えて出す」これだけでも、練習前と比べて高い声を優しく出せるようになりました。
息をたっぷり使う

二つ目の練習は「息をたっぷり使う」です。
前章でご紹介した「声を張ってしまう所を抑えて歌う」では、どうやっても改善できないところがありました。
例えば、私の場合は「イ」の母音の発声を抑えて出そうとすると、ハイトーンがキープできず声が裏返ってしまうという問題がありました。
そこで、その悩みを解決するために教わったのが「息をたっぷり使う」というテクニック。
歌っている最中ずっとやるのではなく、ピンポイントでやるイメージです。
優しく出したい時に息を混ぜる
高い声を優しく出したいけれど、「声を抑える」という意思の力ではどうしようもできない時には「もっと息を混ぜて歌ってみて」と教わりました。
やってみると効果てきめん。
サビでキンキンした声になっていた個所が、息を混ぜて発声することでグッと優しい歌声に。
これは
- 裏声
- ウイスパーボイス
- ささやき声
のいずれとも異なり、地声の感覚で音色を柔らかくできるテクニックです。
呼吸の練習とセット
完全にコントロールできている方は問題ないのでしょうが、腹式呼吸の練習を軽視していた私はここでトラブル発生。
息が持たない・・・
そう、たっぷり息を使うことで高い声を優しく出せるようになった一方で、呼吸が持たなくなってしまったのです。
この頃から呼吸の重要性を痛感して、腹式呼吸の練習もセットで行うようになりました。
しっかり基礎練習に取り組まれている方なら、こんな所でつまずかないと思います。
曲のブレスポイントでしっかり空気を肺に落とし込み、扱える呼気を増やす取り組みをセットで進めました。
歌い出しにも応用
息を混ぜる感覚の発声ができるようになった頃、「高い声以外でも使えるよ」と教わりました。
例えば歌い出し部分。
具体的にはAメロでたっぷり息を混ぜることで、優しく歌い出せるようになりました。
ここまでで何を歌っても高い所でメタルっぽくなってしまう発声はかなり改善。
声がキンキンし過ぎて曲の雰囲気を壊してしまうということはなくなりました。
静かな曲で練習

三つ目の練習は「静かな曲で練習」です。
それまでボイトレの課題曲といえばアップテンポなロックの曲を選んでいました。
そこで高い声を優しく出す練習として、あえて静かな曲をチョイス。
激しい曲は勢いで何とかなることがありますが、静かな曲になるとそうはいかない。息遣いまでダイレクトに聞こえるので誤魔化しが効かないのです。
人に聴かせられるレベルまで高い声を優しく出すことを目標にしていましたので、次に説明することを行いました。
好きなバラード曲で練習
好きなバラード曲を課題曲としました。
プライベートでの出来事も重なり、当時、心に刺さった「366日」を練習。
366日とはHYさんの曲で、失恋ソングです。ちなみに私が選んだのは清水翔太さんがカバーされていた方です。
全体を通して優しい声で歌いつつ
- Aメロはしっとりした声で歌い出す
- 声を張るところもあるけれど、決して乱暴な声にしない
- 裏声とのメリハリをつける
を意識しました。
余談となりますが、ボイストレーナーの先生から「昔の恋人を思い出して辛い」と言われ、私も過去を思い出しながら歌っていたので、二人でダメージを負うレッスンがしばらく続きました。
話を戻しますと、好きなバラード曲で練習することで、原曲と自分の声の違いを認識しやすくなります。
またモチベーションも維持しやすく、癖を直すという根気のいる練習を続けられるわけです。
カラオケ大会出場を目標に
ただ練習して終わりにしたくなかったので、カラオケ大会で366日を歌うことにしました。
カラオケ大会とはいえ、チケットが販売される有料イベント。
「中途半端なことはできないぞ」と思い、オーディエンスに聴いてもらうために優しい声を出す練習を徹底的に行いました。
というのも366日歌いますとアナウンスされて、ステージでキンキンした声で歌ってしまってはお客様ドン引きだと思ったので。
結果、これが上手くいきました。
カラオケ大会に出場するという明確な目標のおかげで、練習をサボるということがなくなったからです。
高い声を優しく出す以前に「サビで声がひっくり返ったらどうしよう」といったプレッシャーもありましたが、自分の成長に繋がりました。
後日談:表現の幅が広がった
カラオケ大会に出場するという目標の下、練習を重ねた結果、友達からの歌声の評価が「優しい歌声でいいね」に変化しました。
それまでは「熱い歌い方だね」でした。
それまでの歌い方が出来なくなったわけではなく、キンキンした声も出せるので表現の幅が広がった感じです。
具体的にはロックな曲だけれど、Cメロに入ったら優しい声に変えることができるようになり、声の引き出しが増えました。
まとめ

今日は「高い声を優しく出す方法」というテーマで解説してきました。いかがでしたでしょうか。
声質は生まれ持った物といった印象が強いです。
でも「歌い方」については後天的な練習で改善できます。
「高い声を優しく出す」も「歌い方」の一つです。
以前の私はバラードは歌えないと決めつけて、最初から諦めていたのでもったいないことをしていたなぁと思います。
高い声が出るようになったけれどキンキンした声でバラードを歌えないとお悩みの方は、今日ご紹介した方法を参考にしていただければ幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。